~不倫示談書の公正証書化~


配偶者が有責配偶者と不倫関係にあった第三者へ慰謝料請求等をする場合には、口約束ではなく明確に「不倫示談書」を作成するのが望ましいといえますが、可能であれば、「不倫示談書」を公正証書として作成することも、紛争予防の観点からは、有益といえます。


確かに「不倫示談書」は、合意の証拠となるものの、「不倫示談書」を公正証書として作成する場合と比べて下記のような問題があります。


(1)不倫示談書を作成した者が本当に不倫示談書を作成したのか(誰かが替え玉となって書いたものではないか?)、

(2)不倫示談書に記載されている日付が本当の不倫示談書作成日なのか(後になって日付を遡らせたものではないのか?)、

(3)不倫示談書に書かれている内容が本人の真意に沿うものであるのか(誰かに強制されて無理矢理書かされたものではないか?)

等の問題が起こりえます。


この点に関し、不倫示談書を公正証書として作成すれば、公正証書が「公証人」という公の立場にある者により当事者の本人確認を十分に行う等厳格な手続を踏んで作成されることから、上記の懸念が大幅に軽減されます。


また、その公正証書中に強制執行認諾文言がある場合(執行証書)には、判決等と同様に、債務名義としてこれに基づき直ちに強制執行できるとする効力があり、通常の「不倫示談書」にはない効力が認められています。